2010-09-28 11:08:14
トンネル格言3-足立氏の隧道十訓3
少し時間が空いてしまいました。格言の続きです。今日の格言は、かつての木製支保工の時代の話であって、現代の施工状況には直接には当てはまりませんが、その精神は古びてはいません。
なお、テラテックHPの方の、執筆論文のページに、そのような古典的な木製支保工の掘削方法を記した論文を掲載しています。参照してみてください。
http://www.terra-tech.jp/chida1987.pdf
7.天導掘らずに,中割するな
これは、木製支保工時代の、断面分割施工の話です。現在はNATM含め支保の向上により、全断面施工、分割しても2分割くらい(ベンチカットなど)が主流となっていますが、当時は小さい断面の導坑を最初に掘削し、その支保を利用しながら徐々に切り拡げていったものです。
大雑把には、底設導坑の次に頂部(天導)に切り上がり、次いで左右に切り拡げる(中割)すするという順番は決まっているので、その手順を守れ、という意味です。
現代に置きかえると、基本に忠実に、手抜きをするな、ということでしょうか。
8.鼻梁は腰紐,キチンとしめたらシャンとする
鼻梁というのは、スプリングライン付近の水平の桁(大引、上図中の10)と掘削面とを固定する部材です(上図中の16,24)。言うなれば、鼻梁は、着物における帯に対する腰紐であって、それをギュッと締めればトンネルも着物も安定する、という意味です。
現代のNATM工法において考えると、コソク=不安定岩塊除去や支保の早期設置で地山を緩めないようにしろ、などと意訳できます。
9.遣らずは両方
遣らずとは、上図に示すように特に坑口部のような端部で、木製支保工がトンネル軸方向=縦断方向に倒れてこないように入れる、斜めの突張り材のことです。これを、悪い方のみ、左右どちらか、ではなく、両方にバランス良く入れろ、という意味です。立て看板をイメージしてもらえば、突張り材を1本だけというのは、あり得ないですね。
現代のトンネル施工等でも、とかく、悪い方のみに目がいってそこばかり対策と成りがちで、意外に何でもなさそうなところで事故が発生したりします。バランスは大事、ということですね。
10.荷を担ったら足元に気を付けよ
支保工に荷重がかかると、その荷重は支保工だけでなく、その足元の地盤が最終的に支えることになります。そのため、足元の沈下や変状に気をつけろ、という意味です。
かつても今日も、とかく上方の切羽に目がいきがちなので、それを戒める格言です。
では、また。
※1 以上、引用、参考文献「山岳工法の調査・設計から施工まで」(地盤工学会)
※2 図の出典 「隧道工学」(S19.2小林紫朗)
※3 こんな短文の格言なので、いろいろな解釈/表現の仕方が発表されています。本ブログに記載する意味は、それらを横目で睨みつつ、筆者の好み?を味付けしている内容であることを、お含みおきください。
なお、テラテックHPの方の、執筆論文のページに、そのような古典的な木製支保工の掘削方法を記した論文を掲載しています。参照してみてください。
http://www.terra-tech.jp/chida1987.pdf
7.天導掘らずに,中割するな
これは、木製支保工時代の、断面分割施工の話です。現在はNATM含め支保の向上により、全断面施工、分割しても2分割くらい(ベンチカットなど)が主流となっていますが、当時は小さい断面の導坑を最初に掘削し、その支保を利用しながら徐々に切り拡げていったものです。
大雑把には、底設導坑の次に頂部(天導)に切り上がり、次いで左右に切り拡げる(中割)すするという順番は決まっているので、その手順を守れ、という意味です。
現代に置きかえると、基本に忠実に、手抜きをするな、ということでしょうか。
8.鼻梁は腰紐,キチンとしめたらシャンとする
鼻梁というのは、スプリングライン付近の水平の桁(大引、上図中の10)と掘削面とを固定する部材です(上図中の16,24)。言うなれば、鼻梁は、着物における帯に対する腰紐であって、それをギュッと締めればトンネルも着物も安定する、という意味です。
現代のNATM工法において考えると、コソク=不安定岩塊除去や支保の早期設置で地山を緩めないようにしろ、などと意訳できます。
9.遣らずは両方
遣らずとは、上図に示すように特に坑口部のような端部で、木製支保工がトンネル軸方向=縦断方向に倒れてこないように入れる、斜めの突張り材のことです。これを、悪い方のみ、左右どちらか、ではなく、両方にバランス良く入れろ、という意味です。立て看板をイメージしてもらえば、突張り材を1本だけというのは、あり得ないですね。
現代のトンネル施工等でも、とかく、悪い方のみに目がいってそこばかり対策と成りがちで、意外に何でもなさそうなところで事故が発生したりします。バランスは大事、ということですね。
10.荷を担ったら足元に気を付けよ
支保工に荷重がかかると、その荷重は支保工だけでなく、その足元の地盤が最終的に支えることになります。そのため、足元の沈下や変状に気をつけろ、という意味です。
かつても今日も、とかく上方の切羽に目がいきがちなので、それを戒める格言です。
では、また。
※1 以上、引用、参考文献「山岳工法の調査・設計から施工まで」(地盤工学会)
※2 図の出典 「隧道工学」(S19.2小林紫朗)
※3 こんな短文の格言なので、いろいろな解釈/表現の仕方が発表されています。本ブログに記載する意味は、それらを横目で睨みつつ、筆者の好み?を味付けしている内容であることを、お含みおきください。