2010-09-14 10:13:50
トンネル格言2ー足立氏の隧道十訓2
昨日の続きです。
4.流汗淋漓(りんり),崩壊の徴
りんり、とは、したたり落ちるという意味だそうです。つまり、汗ダラダラ、ということですね。
地山や支保工から湧水が増える、つまり汗がダラダラしてくるかのように水滴付着や滴水が増える場合は、崩壊の予兆として注意しなくてはいけない、という意味です。
とはいっても、トンネルと湧水とは、切っても切れない関係で、湧水だけならば無数にあります。その量の変化に注意、ということです。
話は多少ずれますが、道路や鉄道トンネルの場合、壁面からの湧水によるつらら、路盤凍結などで問題になる場合があります。その場合は面導水工などの排水工を設けなくてはいけません。
5.埃たなぬに,水ないものか
地山を、ダイナマイトなどを併用して掘削すると、普通ならば、粉じんと呼ばれる埃がもうもうと出ます。それが出ないということは、つまり、地山が水分を持っているということであって、目に見える湧水がないからといって油断は禁物、という意味です。4.と同様、湧水への細心の注意を促す格言です。
水があるのも困りものですが、水がなさ過ぎて粉じんが生じるのも厄介です。かつての鉱山労働者の方々が、この粉じんが引き起こしたじん肺で苦しまれています。
6.肩のしまりは,身のしまり
当時のトンネル支保工は、材木により、今日から見れば寄せ木細工のように組み上げて構築していました。時代劇などで時々、鉱山や犯罪組織?の地下道が出ることがありますので、思い出してみてください。その全景が美しくないと、地山がきちんと押さえられない、という教えを、人間の体の姿勢にたとえて表現したものです。
今日の支保工は寄せ木細工のような美しさはないですが、本質は同じです。
上記の肩という語が、天端~アーチ部を指すとも言えます。つまり、天端部に空隙を残さないように支保工できちんと押さえなくては駄目だよ、という意味です。今日のNATM工法の真髄をも示唆しています。
また脱線しますが、上記のように言われながらも、岩盤が良い箇所では、コンクリート覆工と地山との間には空隙が残っていることも多いのが実情です(それで問題ない箇所が大半なので誤解なきよう)。良く言えば、メリハリをつけてやっていた、ということでしょう。
では、また。
※1 以上、引用、参考文献「山岳工法の調査・設計から施工まで」(地盤工学会) )
※2 こんな短文の格言なので、いろいろな解釈/表現の仕方が発表されています。本ブログに記載する意味は、それらを横目で睨みつつ、筆者の好み?を味付けしている内容であることを、お含みおきください。
4.流汗淋漓(りんり),崩壊の徴
りんり、とは、したたり落ちるという意味だそうです。つまり、汗ダラダラ、ということですね。
地山や支保工から湧水が増える、つまり汗がダラダラしてくるかのように水滴付着や滴水が増える場合は、崩壊の予兆として注意しなくてはいけない、という意味です。
とはいっても、トンネルと湧水とは、切っても切れない関係で、湧水だけならば無数にあります。その量の変化に注意、ということです。
話は多少ずれますが、道路や鉄道トンネルの場合、壁面からの湧水によるつらら、路盤凍結などで問題になる場合があります。その場合は面導水工などの排水工を設けなくてはいけません。
5.埃たなぬに,水ないものか
地山を、ダイナマイトなどを併用して掘削すると、普通ならば、粉じんと呼ばれる埃がもうもうと出ます。それが出ないということは、つまり、地山が水分を持っているということであって、目に見える湧水がないからといって油断は禁物、という意味です。4.と同様、湧水への細心の注意を促す格言です。
水があるのも困りものですが、水がなさ過ぎて粉じんが生じるのも厄介です。かつての鉱山労働者の方々が、この粉じんが引き起こしたじん肺で苦しまれています。
6.肩のしまりは,身のしまり
当時のトンネル支保工は、材木により、今日から見れば寄せ木細工のように組み上げて構築していました。時代劇などで時々、鉱山や犯罪組織?の地下道が出ることがありますので、思い出してみてください。その全景が美しくないと、地山がきちんと押さえられない、という教えを、人間の体の姿勢にたとえて表現したものです。
今日の支保工は寄せ木細工のような美しさはないですが、本質は同じです。
上記の肩という語が、天端~アーチ部を指すとも言えます。つまり、天端部に空隙を残さないように支保工できちんと押さえなくては駄目だよ、という意味です。今日のNATM工法の真髄をも示唆しています。
また脱線しますが、上記のように言われながらも、岩盤が良い箇所では、コンクリート覆工と地山との間には空隙が残っていることも多いのが実情です(それで問題ない箇所が大半なので誤解なきよう)。良く言えば、メリハリをつけてやっていた、ということでしょう。
では、また。
※1 以上、引用、参考文献「山岳工法の調査・設計から施工まで」(地盤工学会) )
※2 こんな短文の格言なので、いろいろな解釈/表現の仕方が発表されています。本ブログに記載する意味は、それらを横目で睨みつつ、筆者の好み?を味付けしている内容であることを、お含みおきください。